よりによって、なんでおれが。 「シックス。ねぇシックスってばァ」 …ムシだムシ。 こいつの相手をしてやってるとキリがない。 「なに怒ってんだよォ、シックス?」 「だあっ! こら、手を離せっての!」 「だって…。『危ないから、はぐれないようについてこい』って言ったの、シックスだよ?」 「だからって、お手々つないで調査活動かよ!? ガキじゃねぇんだぜ、全くよぉ」 とは言ってみるものの。 こいつの手をバシッと払いのけられねぇあたり… 我ながら甘いんだよな、はぁ。 「シックス、歩くのが速すぎるんだよォ。なんでそう急いでるの?」 「テメーがトロすぎんだろ!」 …『怖いから』なんて言えるかよ、バカヤロウ。 「なに怒ってるのか知らないけどさァ…。 二人で組んでるんだから、もう少しオレの事も考えてよ?」 袖を引かれて、ついユーイチの顔を見てしまった。 う…。 弱いんだよな、この目。 ひと昔前に流行った『お願いネコ』じゃねーんだっての、チクショウ!! 「んーだよ、おれは何も好きでテメーと組んでるわけじゃねぇんだからなっ!」 「じゃあシックスは誰と組みたいんだよォ?」 プッとふくれて、ユーイチも負けずに言い返してくる。 「そりゃあ、どーせならヤローより可愛い女のコの方が…」 「ヒトミちゃん?」 「だめだ。ヒトミは却下」 「えー、どうしてさァ?」 「おれ見ちまったんだよ。いきなり出てきた悪魔に回し蹴りくらわせてさぁ、 『アンタみたいなザコにはこれで充分よ!』とか叫んでんだぜ! んなオッカネェ女と組めるかよ…。 狂暴化しないだけユーイチの方がまだマシよ」 「でもさァ、他に女の子いないよ?」 「いちいちうっせーんだよ! 少なくともテメーみてぇな足手まといと違って、他にいんだろ。頼りにできるヤツが」 「やっぱり、悪魔と戦える――」 「アイツはだめ!! 悪魔に顔舐められて、酒屋のイカ燻を袋ごと食わせてニタついてるようなヤツが どこの世界に存在すんだよ! 『こらこらジョリィ、くすぐったいだろ。アハハ』じゃねえよ!! だいたい何で悪魔がジョリィなんだよ…。 アイツと組むくらいならユーイチと組む方がずっとマトモだっての!!」 「じゃあ、やっぱりランチ?」 「冗談よしてよ。 アイツよか、まだオマエと組んでた方がゼンッゼン気が楽だね!」 「えー何で? シックス、前にランチと組んでたじゃん。 ランチ優しいし、頼りになるよねェ?」 意外そうなユーイチに、おれは説明してやった。 「それはさぁ、オマエを一人前扱いしてねぇからだろ!? アイツ気ィ短けぇし、すぐ怒るし。おれの事ガキ扱いして怒鳴りつけるんだぜ、ったく…」 NSビルではぐれた時、探しにきてくれなかったので怖い目を見たコトは黙っていることにした。 「シックスと似てるよねェ」 「はぁ? 何か言ったか?」 「ううん。…じゃあ、あとは…スプーキーなの?」 「オマエさぁ、ランチに聞いたか? あの人、背後にでっかい悪魔見て顔色ひとつ変えないんだぜ。 おれとランチが焦りまくってんのに 『どうも話の通じる相手じゃなさそうだねえ、ハハハ。どうしようか、ランチ?』じゃないっての!! 同じ命知らずでも、ヒネてない分ユーイチの方がマシってね。 あんな面倒な人はランチにでも任せてりゃいいのよ」 「ねえシックス。それってさァ…」 「ん? 何だよ」 なに嬉しそうな顔してんだ、ユーイチのヤツ。 おれ、何かコイツを喜ばせるようなこと言ったか? 「シックス、好きでオレと組んでるわけじゃないんだよねェ?」 「ったりめーだろっ! 誰がテメーなんかと!!」 …… あれっ? |