響の死、その後の麟童たちについて。



すこし前書き。


また、SJ感想⇒語りにおさまらず、⇒フリートークまで来てしまいましたが。
今回の方が、頭に血が上ってた(面目ないッス…)前回より、考えたことは多かったりします。
…なら、あんなに騒ぐなよ自分…(汗)。
いや、誰も読まなくてもいいッスけど(笑)これは自分自身のケジメなんで。
「何が引っ掛かってて、いかに納得したか」個人的転回を軸に、ちょっと個人的「リンかけ」観について考えてみたいと思いまして。そんなところです。


噂について、その後。


前回は、秋田書店「チャンピオンRED」で星矢新連載の件と、スパジャン本誌の響ショックが重なって、すっかり頭に血が上ってました。面目ありません。
意図しない偶然なんでしょうが…あんまりファンの心をいたずらに掻き乱しちゃあいけませんぜ、ねえ。

で、私見をこう書きました。
車田先生は『「リンかけ」の「人間ドラマ」の部分を、現在のやりかたで総力を尽くして描きたかったんじゃないかな』
…と。
「リンかけ2」には、まだ作者の熱い姿勢が窺える気がする』
とも書いてます。

ようするにオイラ、すごく「リンかけ2」の今後に期待している、しがないファンのひとりなんスよ。
そんな自分は今回の展開を読んで、個人的に「おおーっしゃあぁ!!!」と思いました。

数ヵ月後どころか、2週間後に自分でフリートーク読み返して、「またオレってば噂に踊らされて〜(ーー;)」と自己嫌悪に陥るとは…予期せぬ展開でした(爆)

…と、いうより。
心配していた響の死についての件が、ちゃんと落ち着くべきところへ落ち着いたんで、ほっとしました。
自分は、何を恐れていたのか?(苦笑)
つまり、個人的に車田漫画…いや「リンかけ」に何を求めていたのか?
それが普遍的なものか、ごく個人的なものかはわかりませんが…

今回の話に、車田作品の魅力の『核』のもう片方の部分が、描かれているような気がしましたので。
つまり「人間を描く」…といいますか…その部分です。
…いや、あくまで個人的な捉え方ですから大きく間違っているかもしれませんよ?(笑)
それでもよろしければ、一ファンのマジメな感想として、下の項をどうぞ。


もうちょっと前置き。


正直に言います。
オレがずっと響のことを心配していた理由ですが。
読んでる間は物語に入りこんで、麟童みたいに、わが友人のような気がするほど感情移入してた(だって、楽しむ時は真剣に楽しまなきゃ、人生もったいないじゃないスか/笑)ってのも、ひとつですが。

もうひとつの、そしてもっとも大きな理由は。
誤解を恐れず一言でいえば「湿っぽいリンかけなんて読みたくねーよ!!」
…て事だったのかな、と。
もっと誤解を恐れず言いましょうか?
「嘘くせえリンかけなんて読みたくねーよ!!」って事です!!(笑)
この意味、わかる人にはわかりますよね?

恥ずかしながら小生、車田作品を全部読んだわけではありませんが…。
親しい人物の、死に遭遇した時について。
ファンタジックな(特殊な)シチュエーションではなく、日本人として…いや人間として、地に足がついている空気のなかで。
まあいくつかありますが、ううむ…。
今回ほどていねいに描いている場面って、すぐに思い出せないんですが。

竜児の母の場合は…
母、というのは、自分にとっては特殊な位置付けの、世界にただひとりの人ですから。
兄弟姉妹や父親とも少し違う…というか。
しかも竜児は、その事実を知らされていなかった。
あの場面では年齢的にも取り乱してあたりまえだし、とても人間らしい…なんというか、説得力を感じました。

今回の「リンかけ2」世界の中で…
同性の友人の若すぎる死についての描写と、その後の展開。
先生には申し訳ないんですが…正直ね、すごく心配でした。
車田漫画って、ハッタリを取り混ぜた盛り上げが凄いじゃないですか。
…で、つい。
響が死んだうえに、安易な薄っぺらい物語になっちまったら、こりゃあやりきれんぞ、と…
思っちまったわけなんですが。
死ななきゃ安易でもいいのかって?
…いいんです、生きてるって事は何物にも代えがたいんだから!(笑)


…ということで本題、今回の感想です。


今回の話について、順を追って語ってみます。

まず、伊織が貴子に遺骨を渡す場面。
二人のやりとりに、とても、リアリティを感じました。
死に顔はどうだったか…それだけを訊く、貴子の親心とか。
無駄な場面は思い切って省く車田先生が、あえてこのシーンを描いた意味を汲み取りたいところです。

石松が、伊織をねぎらう場面も。
河井を含めたドイツ逗留日本勢の中で、いちばん気丈で責任感の強い伊織に、この役を押しつけてしまった大人サイドとして、詫びる言葉ですね。
…っていうか、本当はこれ(伊織の役)河井の役目だよ。
まあ、彼は芸術家だけに繊細だし、それだけショックが大きかったということなんでしょうか。
それも、とても説得力あるし、納得できる。
あるいはドイツに残ったのは伏線が…いや、まさかそりゃないよね、この展開じゃ99.99%!(笑)

その次の、帰国前日の回想…ザナドゥへの挑戦権を押しつけあう場面で。
麟童と嵐が、今までとんがってたわりに意外に脆いことが判明してます。
伊織もかなりこたえてる様子ですが、(スパルタに耐えてきただけあって?)気丈ですね。
特に嵐…こいつが、オレには資格がないなどと殊勝な事を言ってます。
(死者とはいえ)友の強さを素直に口に出して認め、自分の弱さと向き合ってますよ。しかも前向きに。

いちばんこたえてるのは…(肉親の河井を除けば)やはり麟童でしたね。
どうしちゃったんだ…というくらいボロボロです。
ザナ・ジョルがこのドイツ戦を経て、麟童をちゃんと認めている、というあたりも見逃せないポイントですが。

石松家に帰って一菜の顔を見た途端、気がゆるんで泣いてしまうあたり、これでもかのダメ押しです。
…一菜、なんかもう母親がわりみたいになってますね(^^;)
麟童!いい歳して甘ったれんな、と(ちょっとだけ)言いたいところですが、幼い頃に母を亡くしてるので、それを言っちゃ可哀想ですね。
こんなふうに弱みを見せられる相手が、他にいないんですよ。

病院前の海辺で、石松と会う場面。
もうここは何も言いません。言うことはないです。
この5ページで、リンかけ2読んでてよかったな、と心から思いました。
響との出会いから別れまで…すべてが意味のあることだったんだ、と。

…決して派手な場面でも、感情を掻き立てる場面でもないんですがね。
陳腐になるのを承知で、あえて言葉にすると。
本当はボクシングをやりたい気持ちはあるが、悲しみでその気になれない麟童。
(…この悲しみっぷりも、抑制がきいてて、とてもいいですね…)
こういうドン底の時は、「誰も許してくれなかった」という事が非常にこたえるんですね。
普段は元気で「いいよ、じゃあ自力でなんとかするぜ!」というヤツでも、そういう前向きな方向には…ちょっと行けません。ムリです。
そんな中で、同じ目標に共に情熱を燃やして向かった…今は亡き、友が。
友だけが、自分の本心をわかってくれていて。
しかも自分には黙って、最後の手紙でまわりの大人たちに頼んでくれていた、という。

まあ、大人たちも、本当に麟童がボクシングをやるのを許してないわけじゃないんですが…。
…っていうか、みんな暗黙のうちに許してるんじゃない?(笑)
志那虎は「許しはやらんが、そんなオレ(大人)を乗り越えて自力でやってみろ」って感じだったし。…子育てのやり方もそう、これが志那虎流(苦笑)。
総帥も「素質を見てやる」って言って結局、許しはくれなかったけど、やはり本当にやる気があるのか…見守ってる感じがします。
河井の場合は、唯一、本気で頼めば許しをくれそうだったんだけど…響の件でそれどころじゃなくなったというのが本当のところでしょう。
…で、石松。
このオヤジ、麟童が3人に会いに行った時点で、許可をもらってくるかどうかに関わりなく、ボクシングを教えてやるつもりだったと見た。(笑)
「許しをもらってこい」ってのは、麟童のやる気を見るためだったんじゃないかな。

…いい話だよ…。
個人的に、今回ですっかり満足しました。
正直、もういつ連載が終わっても悔いはない…と思ったくらい。

いや、もう少し。…いやいや、もっともっと!
麟童の成長を、楽しみに見続けたいスね!

ただ、こんな長い語りはやらないと思いますけどね、もう(笑)
('02.11.27 記)


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